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高校時代・2
【高校時代・2】
レスリング部にも、後輩が入部してきたので、僕たちは、練習前の掃除などから解放された。
合宿のときも、洗濯や食事の準備はしなくてすむのだ。
楽になったので、たしかに嬉しかった。
でも、自動的に上の位になって喜ぶ人間がいる限りは、この年功序列の体制はなくならないのかもしれないな…とも思った。
先輩になったのは、自分の実力ではないのに、僕自身、自動的に(進入部員よりも)上の位になって、喜んでいるのだ。
(これじゃ成長が無いかも。反省!)
2年生にもなると、試合前には当然、減量がある。
「ツライ事」というのは、この減量(体重調整)のことである。
もちろん、1年生のときも減量はしていたけど、1年生のうちは、試合に勝ちに行こう!…というより、まずは試合に慣れよう!…という感じだった。
だから、そんなに体重制限に過敏ではなかった。
勝ちに行くことを考えるようになると、減量をすることになる。
僕の場合は、試合前になると、3〜5kgほど体重調整をするようになった。
(3kgくらいの減量だと、すぐ達成するのだが…)
すごい人は、8kg以上落とす人もいた。
僕の場合、だいたい、2週間くらいで減量をする。
すでに1年間レスリングをして、体は鍛えられ、引き締まっている。
落とすべき脂肪なんて、ほとんど無いのである。
それに加えて、栄養面の知識なんて、ほとんど無い。
僕は、試合のために減量するたびに、筋肉が減っていた。
ようするに、栄養学からすると、間違った減量の仕方をしていたわけだ。
(全国のダイエット志願者へ!マネしないようにね!(笑))
さて、減量するために、どんな方法を取っていたかというと…。
まず、食事制限。
体重を減らそうと思ったら、誰もが考えること…と思う。
先生は「食べて落とせ!」と言っていたけど、食べると体重が落ちない気がして、食べる量を極端に減らしていた。
それから、水分の制限。
実は、ほとんど水分で体重を落とすのだ。
無駄な脂肪があまり無い選手にとって、減量というのは、体の水分を減らすこととイコールと考えていい。
(もちろん、脂肪も落としてはいくけど、限界がある)
だからなのか、3kgくらいまではすぐに落ちるけど、それからはなかなか体重が減らなくなる。
空腹というのは、ある程度までいくと、慣れてしまう。
でも、水分を欲しがる欲求は、慣れない。
食べなくても平気だけど、飲まないとやってられないのだ!
減量中は、何キロカロリー食べたか、ということよりも、何グラム食べたか、ということの方を気にする。(僕の場合はそうだった)
スポーツドリンクなどの飲み物よりも、アイスキャンディーを口にしていた。
アイスキャンディーの方が、軽いわりに長く味わえるからである。(笑)
もちろん、全く飲まないわけにはいかないので、今日は何グラム(ミリリットル)飲もう、とかを決めて飲んでいた。
(ダイエット志願者!本当に、マネしちゃだめですよ!)
シャワーを浴びているときには、もう、水が飲みたくて飲みたくてたまらなくなる。
しかし、ガブガブ飲むわけにはいかない。
ガブガブ飲んだとしても、それくらいで体の水分がもどるわけないし、満足するわけもないのだ。
だから、シャワーを浴びながら、手のひらに付いた水(お湯)をまずブンブンとふりはらい、ふりはらった手のひらに付いているかすかな水滴を、吸う。
ズジュルルル…。
そんなことをしていた。(アブナイ人間だ〜(笑))
お風呂(湯船)に入るときは、たまったお湯を飲みたくてしかたがなかった。
(汚いお湯なのに…(笑))
そして、練習内容。
レスリング道場には、「ボイラー」と僕らが呼んでいるモノがある。
何かというと、冬の全校集会などで体育館に集まったときにお目にかかる、あのでっかいストーブのことだ。
試合前になると、道場の窓を締め切り、その「ボイラー」と呼ばれるでっかいストーブを燃やす。
室温を上げて、少しでも汗を出すためだ。
(さすがに夏場は使わないけど)
そうすると、道場の中は、ちょっとしたサウナ状態になる。
そのサウナ状態の中で、練習をするのだ。
試合が間近になってくると、減量をしている人は「まわし」というものをする。
1分間のスパーリングを連続でする、ただし、相手は1分ごとに変わっていく。
一人だけマットに入り、1分ごとに対戦相手だけ入れ替わるのだ。
この「まわし」は、めちゃめちゃツライ!
元気なときでさえしんどいのだ。
減量中だと、泣ける。
いや、マジで。(笑)
「もう、自分が消えて無くなりたい!」と思ってしまうほど、しんどい。
十分動いたら、服を上下たんまり着込んで、かるく動いたりする。
自分を追いこんで、激しく動いたりもする。
その後、壁に向かって、倒立をする。
手で体を支えてなんていられないので、頭で倒立する。(手は補助として使う)
壁にもたれているから、倒れたりはしない。
なぜ倒立するかというと、汗がいっぱい出るから。(…らしい)
実際にはかったことはないけど、確かに汗がたくさん出る気がする。
そんな感じで、練習する。
過激な減量をしている人は、そこでさらにこすってもらう。
こすってもらう…というのは、もはや疲労で動けないので、服を着込んだまま寝転がって、体を他の部員にゴシゴシこすってもらう。
乾布摩擦みたいに。
あったまるけど、果たして、これで本当に汗が出るのか、僕は知らない。
このままマッサージに移行して、体をほぐしてもらったりもする。
もちろん、練習前と練習後の体重は、ちゃんと記録しておく。
(体重の計測は、減量中でなくても必ず行う)
僕の場合、減量中は、「試合に勝とう!」という思いよりも、「試合が終わったら何を食べよう!」という思いのほうが、断然強い。(笑)
手段と目的をはきちがえている。
しかし、食べ物と飲み物のことで、頭がいっぱいなのだ!
夜寝るときは、暑くてなかなか寝られない。
水分が少なくて、汗をかかないから、体温が下がらないのではないか…と思っているけど、それが本当かどうかはわからない。
試合が終わると、一人でチョコレート・パフェを食べに行ったりしていた。
はっきり言って、最高!(笑)
試合後はメチャメチャ食べる。
…と、思ってはいる。
メチャメチャ食べる、食べてやる!という気構えはあるけど、なぜかあまり食べられない。
胃が小さくなっているのだろうか。
でも、1度でたくさんは食べられないとしても、満腹を超えて食べ続けることが続くので、すぐに体重が戻ってしまう。
激しい減量をしていた人は、1日で4〜5kg増える人もいる。
それだけ食べた…ということなんだけど、それだけ水分がなくなっていた…ということでもある。
ダイエット志願の方、絶対にマネしちゃいけませんよ!
危険ですから!(笑)
2年になってしんどかったのは、宿題が毎週出るようになったことだ。
これも「ツライ事」のひとつでもある。
建築科だった僕は、製図(家の設計図や断面図など)を描く宿題が出るようになった。
毎週。
平日は、7時ごろ部活が終わり、着替えて、12kmある自宅まで自転車をこいで帰るのだ。
家に帰ってくるのは、夜の9時くらいになる。
夜に帰ってきて、部活で疲労しているときに宿題をする気にはなれなかった。
だから、たいてい週末の夜中に、大好きなドラゴンボールのアニメを見ながら(聞きながら?)製図をカリカリ描いていた。
そんな感じで、高校生活は続いていた。
しだいに、毎日レスリングすることに慣れてきている、そんな自分がいることに気づいた。
(毎日しんどかったけど…(笑))
休日のある日、嬉しいことがあった。
なんと、偶然にあの子を見かけたのだ。
あの子というのは、もちろん僕の好きな子のことだ。
高校の制服を着ていた。
どうやら、近くの高校に通っているようだ。
僕は、あの子を見かけただけでハッピーな気持ちになった。
心だけは天を舞っていた。(笑)
しかし、いつものように眺めているだけで、その「出会い」の瞬間は終わった。
恋愛に関して、まったく行動力がない、情けない男なのだ。僕は。
しかし、高校3年生になって、ついに、ついに、僕も、アクションを起こすのだった…。

