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中学時代・2
【中学時代・2】
中1の3学期が終わって春休みになる前に、バスケットボール部を辞めて、柔道部に入部した。
柔道部に入ったのは、とてもいい選択だった。
仲のいい友達も増えた。
柔道なんて経験が無かったけど、僕にとっては、バスケットボールよりはるかに楽しかった。
1対1というのも、分かりやすくていい。
中2になって、柔道部にも後輩が入部してきた。
入部してきたばかりの後輩に、心がまずしい僕は(笑)、自分のすごいところを見せてやろうと、けっこう重いバーベルを頭上に持ち上げて見せた。
「ふん!」
…しかし、持ち上げたのはいいが、僕はそのまま勢いあまって、後ろに倒れてしまった。
がっしゃーん!
倒れた先にはガラス戸が…。
ガラスで右手の甲をザックリ切ってしまい、13針縫うことになってしまった。(泣)
すごいところを見せてやろうと思ったのに、救いようのない間抜けっぷりを披露してしまった。
「なんてバカな先輩なんだ。」と思ったことだろう。
痛いというより、恥ずかしくてしかたがなかった。
我が校の柔道部は弱小部だった。
3年生(1つ上の先輩)は2人しかいなかったし、顧問の先生は柔道ではなく体操の経験者だった。(その先生は体操で国体に出たほどの選手だったらしいが、当時、我が校には体操部が無かった)
同級生に一人、父親が柔道家で自宅に道場があるという人がいた。
彼は強かったが、僕を含む他の部員はたいして強くなかった。
…というよりも、まともに練習をしていなかった。…かも。(笑)
でも、楽しかった。
中2になって1番嬉しかったことは、他でもない。
あの大好きな女の子が入学してきたことだ。
(同じ地域の人は大抵この中学校に入学する)
遠くから眺めるだけだったが、それだけで幸せだった。
好きな女の子を遠くから眺める。
これこそ、片思いの醍醐味ではないだろうか!
(ストーカーだろうか…?)
そんなある日、心臓がバクンバクンしてしまうような出来事があった。
僕は歯医者に通っていた。
家の近所にある歯医者さんだ。
待合席で、治療が始まるのを(自分の名前が呼ばれるのを)待っていた。
(たしか、治療開始を待っていたときだったと記憶している。もしかすると、治療後の、支払いの呼び出しを待っているときだったかもしれない)
小さい歯医者で、待合席もベンチが2つだけ。
ギチギチに座っても、10人は無理だろう…という、せまい空間だった。
そこに、あろうことか、僕の好きな女の子がいたのである!
もう1度言う。言ってしまうよ!
僕の好きな女の子が、間近に、3m以内に、いたのである!!
他に患者さんはいなかった。
せまい待合席の空間で、存在するのは、僕とあの子だけ。
(カウンターごしに看護婦さん(?)はいたけど)
ここにいるのは、僕とあの子だけ!
もう、心臓バクバクです!
わかる?
わかるでしょ?
この僕の胸の高鳴りが!!(笑)
しかし、僕は度胸がない。
僕は、こんな状況なのに、2人っきりなのに、何もアクションを起こさなかった。
声すらかけなかったのだ。
(僕のバカバカ!)
僕がとった行動は、僕がその子のことに関心があることを知られないように、自然な感じを装いながら、漫画を読んでいたのだ。
どこの待合席にも本が置いてあるが、それを取って読んでいたのである。
漫画(ドラゴンボールの単行本だった)を開いて、漫画の方を見てはいた。
漫画の方を見てはいたけど、全く読んでなかった。
すぐ横に大好きな子がいるのだ、漫画を読んでいられるわけないじゃないか。(笑)
それがたとえ、大ファンのドラゴンボールだったとしても、だ。
漫画の開いたページに目を向けながら、視界のはしっこにいるその子の動向に、全意識を集中していた。(笑)
その子は、どうも何回かこちらをチラチラ見ているようだった。
「うぉおお!こっち見てるよ!」とか思って喜んでいた。
…が、考えてみたら当たり前だ。
ここにいるのは、その子以外には、僕しかいない。
手持ち無沙汰気味に、なんとなくこっちを見てしまうのは、普通のことだ。
しかし、その子の動きを感じながら、僕は一喜一憂していた。
とにかく意気地のない僕は、結局、最後まで行動を起こさなかった。
僕のバカ…。
あのとき、一言でも声をかけていれば…。
声をかけていれば…、友達になっていたかもしれない。
…いや、そこまでいかなくても、学校内で会ったときに挨拶を交わすくらいの仲くらいには、なっていたかもしれないのだ。
僕のバカ〜!(笑)
その後は、意気地のない自分に対して、自己嫌悪に陥りながらも、また、その子を遠くから眺める日々へと戻っていった。
しかし、そうやって遠くから眺めるだけで、幸せを感じてしまう僕なのであった。
情けなや〜。

