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森で跳ねる魚

【不思議なプチストーリー・24】
〜受け入れるということ〜

森で跳ねる魚
森の中。
草木が生い茂っている中。

そんな中、魚がピチピチと地面を跳ねていた。
いや、もう、跳ねることができないほどに弱っていた。
苦しんでいた。

「なぜ、僕はこんなところにいるんだろう?」

魚は、そんな疑問を抱いた。
これは、なかなかできることではない。
自分が弱りきって苦しんでいるときに、そんな素朴な疑問を抱けるものではないはずだ。

魚は、これまでの人生を思い出してみた。


卵からようやく孵ると、小魚達が襲ってきた。
孵ったばかりの小さな小さな兄弟達は、群れをなしている小魚達に目の前で食べられていった。

自分の体が大きくなってくると、襲ってくる魚も大きく強いものになっていった。
ときには、ウミガメやイカが襲ってきたこともある。

常に襲われる危険を感じながら、びくびくと生きてきた。

成長し、体が大人並みに大きくなってからも、襲われる危険に震える日々は続いた。


…魚は、そんなことを思い出していた。

「それを考えれば、今は、襲われる恐怖などないじゃないか!なんて素晴らしい世界!」

しかし、魚はわからなくなっていた。

襲われる恐怖に怯えながらではあるが生きていける世界と、怯えることはないが泳ぐことも呼吸することもできない今いるこの世界、どちらが素晴らしいのか、ということが。


魚は、襲われる恐怖から開放されていることを知って、喜ぶことにした。
はしゃぐことにした。
そういうことにしてみた。
魚は、苦しいので呼吸したかったが、嬉しがっているように、大きくピチピチと跳ねた。

魚は、なぜ自分がこんなところにいるのか、なんて、気にならなくなった。


最後のときは近い。
もう、幕は下り始めている。

生い茂る草木は、風に揺られたからか、ザワザワとざわめいた。
盛大な拍手に答えるように、魚は最後に大きく跳ねた。



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