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キノコマンの川下り
【不思議なプチストーリー・11】 〜川の流れでプカプカクルージング〜
キノコマンは、空き缶に乗って川下りをしていた。
それは、サーカスの玉乗りのような難しさだった。
しかし、キノコマンは乗りこなした。
それは、キノコマンの心を少なからず満足させた。
川を下っていると、美しい大樹が何本もあった。
そんな大樹を見るたびに、とどめようのないものがこみ上げてきた。
キノコマンは、胞子をまきちらしたくてたまらなくなった。
「あの大樹の木陰に、胞子をまきちらしてやりたい!」
とキノコマンは苦悩した。
これまで見たこともないような美しい大樹の横を通ったとき、とうとうキノコマンは我慢できなくなった。
川へザブンと飛び込み、川岸へと泳ぎ、その美しい大樹のもとへ走りよった。
キノコマンは大樹のもとへ、胞子をまきちらし、まきちらし、まきちらした。
気が狂ったように、胞子をまきちらし続けた。
キノコマンが気がつくと、もう星が輝いていた。
「川下りなんかやめよう。」
キノコマンはそう思い、また胞子をまきちらした。
思う存分胞子をまきちらしたキノコマンは、座り込んで星空を見上げていた。
なぜか、自分がむなしく思えてきた。
キノコマンは、長い間座り込んで星空を見上げていたが、夜明け前になるとその大樹から離れ、川岸へと歩いていった。
キノコマンは、チャプリと川に入り、そのまま浮かんで川の流れに身をまかせた。
キノコマンの目には、朝焼けの空と、美しい大樹が映っていた。
「体が腐ってボロボロになるまで、川の流れに身をまかせよう。」
…と、キノコマンは心に決めた。

