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闘牛の病気
【不思議なプチストーリー・4】 〜ブルータング病に負けない牛〜
スペインでは、ブルータング病が発生していた。
牛や羊が感染し、発熱などの症状と、舌が青くなってしまう病気だ。
闘牛もかなりの数が感染してしまい、スペインの闘牛会は、
「今期の闘牛大会は中止になるかもな。大赤字だ…。」
と、頭を抱えていた。
しかし、テレビ局は、その現象を“ネタ”として使うことを思いついた。
ブルータング病にかかった闘牛をアナウンサーと戦わせるのだ。
「弱った闘牛が相手なんだから、ひ弱なアナウンサーでも戦わせてみましょうよ。死にはしないでしょ。」
番組の企画者である、ウシウシ・コンツェルのお嬢様は、そう言った。
闘牛と戦うアナウンサーは、おとぼけキャラでお茶の間を和ませる、ストレィツォが選ばれた。
この闘牛場には場違いな人柄が、逆に大衆受けするとテレビ局はふんだのだろう。
「〜アナウンサーよ、質問を浴びせて闘牛を倒せ!〜」
…これが番組のタイトル。
ゴールデンタイムに2時間スペシャルだ。
=撮影当日=
朝、ストレィツォは、14度目のトイレから出てきた。
ひざはがくがくと震え、背中にはイヤな汗をかいている。
念のために補助として付いている闘牛士が、ストレィツォの背中を押す。
「大丈夫です。私が付いていますから安心してください。」
ストレィツォは、かすかにうなずき、ふらつきながら闘技場へと向かった。
そして、闘牛場の真ん中で、闘牛と向かい合った。
ストレィツォは、震える手で握ったマイクを、おずおずと闘牛に差し出した。
「闘牛さん…具合は…どう…です…か…?」
すると闘牛は…。
鼻息を吐き、ニヤリと口のはしをゆがめた。
目を細め、口を大きく開けた。
よだれをたらしながら、自らの長く赤い舌を口から出した。
赤い舌!
ブルータング病ではないのか!?
突然のことで、ストレィツォの補助をするはずの闘牛士は、剣を落としてしまった。
闘牛はすかさずそれを口にくわえ、闘牛士から赤いマントまで奪い取った。
闘牛自身が反対に闘牛士になるのか…?
なら、闘牛になるのは…人間…?
ストレィツォは、わけも分からず、とにかく走って逃げ出した。
闘牛は、剣を口にくわえ、ハナ息をあらげ、好戦的な目つきでストレィツォをギラリと見据えている。
観客は、突然の事態にとまどっていたが、今は誰もがこの事態に興奮し、わいている。
その出来事を見ていたウシウシ・コンツェルのお嬢様は、カメラが回っているのを確認してから「うふふ」と笑い、こう言った。
「いい番組になりそうね。」

